筑波大学のHA-PACSを見てきました。

いざ筑波

4月15日から21日まで「科学技術週間」という期間で、全国各地の科学館、大学、研究所などでは講演会や施設公開が行われていました。そこで20日に筑波大学で最新のスパコン、HA-PACSの一般公開ツアーがあるということで行って来ました!

感想とか

今回のツアーは
「研究員によるスパコンの紹介」
「スパコンの見学」
「スパコンを使った研究(天文学)の紹介」
の3部構成で、だいたい50分ぐらいでした。

どれも専門的な知識を持たなくても十分楽しめるものでした。親子連れが結構多かったように感じました。


HA-PACSのノード。これが268個並列接続されています。

さて、メインのスパコンの見学についてですが、初めてスパコンを間近に見る人が驚くのは騒音の大きさだと思われます。スパコンは内部の装置が熱を発するので、それを冷却するための内蔵ファンが常に回っています。さらに、そのファンによって排出された熱風を処理するための大型クーラーも部屋で常に稼働しています。この写真の部屋でも「ゴォー」という騒音によってほとんど会話もできませんでした。

「HA-PACS」って「京」と何が違うの?

昨年からスーパーコンピュータ「京」が本格稼働され、今日スパコンは多くの関心を集めています。今回僕が見に行った「HA-PACS」もそのようなスパコンのうちの一つなのですが、目指す方向性は「京」とは少し異なったものです。

HA-PACSの魅力はそのコスト対パフォーマンスの良さにあります。京は1秒間に1京回以上の計算性能(10PFLOPS)を持つことで有名です。一方、HA-PACSは1秒間に802兆回という計算性能(802TFLOPS)を持っています。(さらに詳しい性能はこちらの公式ページがもっとも詳しい&分かりやすいと思います)単純に計算性能だけで比較するとHA-PACSは京の12分の1程度の性能であり、おそらく多くの人が「最新なのにその程度なの?」「スパコンは1位を目指すものなんじゃないの?」と思うかもしれません。

ここで注目したいのが、その計算性能は果たして何によって生まれているか、というところです。京は高速ネットワークで結ばれた大量のCPUで並列計算しているのに対し、HA-PACSはGPUとCPUの両方を使用した並列計算をしています。(ちなみにGPUで性能を向上させている国内の代表的な他のスパコンとしては東京工業大学の「TSUBAME2.0」がありますね。)また、京ではCPUの設計から開発しているのに対して、HA-PACSはIntelのCPUとNVIDIAのGPUという、コモディティ化しているパーツによって制作されています。つまり、京はものすごく莫大な予算の上になりたっているスパコンであるのに対し、HA-PACSはより少ない予算で制作されたスパコンであると言ってもよいでしょう。事実、京の制作には1100億円がかかったと言われていますが、HA-PACSは10億円程度だそうです。100分の1近いコストで12分の1近い計算性能ということになります。

では、京の性能はお金の無駄使いなのでしょうか?
もちろんそんなことはありません。これにはCPUによる計算とGPUによる計算の違いが関係しています。HA-PACSは確かにコストに対してハイパフォーマンスではありますが、それはGPUを使っているからでした。しかしGPUには汎用性に欠けているという性質があります。乱暴な言い方をすれば、GPUは単純なことしかできないからこそ計算性能が高いのです。一方でCPUは複雑な計算ができますが、同じ価格のGPUに比べて性能は劣ります。つまり、HA-PACSは京に比べて汎用性に欠けるスパコンということになります。(他にも、京は大規模運用のためのシステムにお金がすごくかかるということもありますが今回は割愛します)

これらの点を踏まえると、HA-PACSと京の違いがわかってくると思います。京があらゆる産業・研究のために作られたものであるのに対し、HA-PACSはもともと量子物理学や天文学などの研究のように限定された用途を想定して作られています。そのため、汎用性の低くても高性能であるGPUが向いており、これがハイパフォーマンスに貢献しているというわけです。ちなみに、筑波大の計算科学研究センターではGPUをただ計算に使うだけではなく、GPUをより活かした計算をするためにどうすればよいか、という研究も行なわれています。まだまだGPUコンピューティングの進歩からは目が離せませんね!

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